
projectsページに、過去に勤めていた(株)難波和彦+界工作舎で担当した作品を掲載しました。
(「箱の家164」「箱の家167」「箱の家170」)
いずれも数年前に建てられた建物ですが、無理を言って再訪をお願いし、写真を撮らせていただきました。
お施主様の皆様には、ご迷惑なお願いを快く受け入れていただき、本当に感謝しかありません。
初めてご覧になる方には、シンプルで堅い印象の建物に見えるかもしれませんが、建築に関する極めて深い思考と実践に基づいて設計されています[1]。
その中心には、人間と建築との関係の中に生まれる環境を、いかに設計しうるかという問いが含まれています。
それは気候や敷地条件など、一般的な意味での「環境」に限らず、生物・非生物を含むあらゆるモノ同士の関係の中に生じる、一種の生態学的な環境です。
それは生活のルーティンや、家族の成長や老衰、周囲のまちの変化などを含む、日常に埋没した永い時間の中で少しずつ形成され、ゆるやかに変化していきます。
設計の結果、どんな環境が形成されたかは、一定の年月を経た後でないと分からないため、自分の目でそれを確かめるため足を運ばせていただきました。
もちろん自分自身が居住しているわけではないため、間接的に把握することしかできないのですが、住まい手の方々が能動的に空間を利用し、想定していなかったような一面を発見し、新しい使い方や生活の可能性を切り拓いている姿を見ることができ、豊かで動きのある、複雑な要素を抱えつつ恒常的に好ましい環境がつくられていることは間違いないと感じました。
拙い写真と文章ですが、少しでもそのことをお伝えできていれば幸いです。
繰り返しとなりますが、お施主様の皆さまには、心よりお礼申し上げます。
(2025.10.22)
- 詳しく知りたい方は、『建築の四層構造』(難波和彦、INAX出版、2009年)等の著書をご覧ください。 ↩︎